研究概要 |
本研究では,ハイブリッド形リニアモータの構築,繰返し制御によるナノメートル位置決めの実現,並びにER流体による高域動的特性の向上に関して詳細な検討を行い,超精密・高速位置決めテーブルシステムの総合的な高度化を実現することを目的としている.平成13年度においては,研究代表者及び研究分担者が開発した高速ナノメートル位置決めテーブルシステム対して繰返し制御系を新たに適用し,その位置決め特性について詳細な検討を行った.その結果,以下のような研究成果が得られた. 1.複数の因子の影響を一括して補償可能な繰返し制御を超精密位置決めテーブルシステムに適用することにより,目標値追従精度の大幅は向上が可能であることを実際のテーブル駆動実験により明らかにした. 2.構築したテーブルシステムにおいて,数回の繰返しにより追従誤差が速やかに収束し,高速・高加速駆動時においてもナノメートルオーダの追従精度が実現実現可能であることを示した.具体的には,最大速度200mm/s,最大加速度5m/s2の駆動条件における追従誤差の標準偏差12nmを実現した. 3.繰返し制御系におけるローパスフィルタの特性と位置決め特性との関係について検討を行った結果,ローパスフィルタのカットオフ周波数には最適値が存在し,構築したテーブルシステムにおいては100(8160)16150Hzの領域に存在することを明らかにした.また,急峻な特性を有するフーリエ変換に基づくフィルタを使用した場合に,より高い追従誤差抑制効果が得られることを明らかにした.
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