研究概要 |
近年の工作機械には、高能率加工を目的として高速切削の実現が強く要求されている。この為には、高速回転主軸が必要となるが、加えて高加減速特性も要求されている。エネルギ消費を抑えることを考えると、主軸系の軽量化が必要となるが、剛性を低下させることは許されない。これら要求に答える技術として、複合材料(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)を使用した主軸系の開発を行うのが本研究の目的である。以下に、平成12年度に於いて達成された成果を要約する。 1.FRP材で構成された主軸構造の静剛性、振動特性、熱変形特性を有限要素法によって解析することを可能にした。異方性のある材料の解析には工夫が必要であった。その結果に基づき、ラジアル剛性を維持し、軸方向熱変形を抑制した主軸構造を提案することが出来た。購入したワークステーションを有効に生かすことが出来た。 2.記結果に基づき、CFRP主軸の第一号試作を行った。日石三菱とマキノJに製作を依頼した。軸受け部は、金属との接触となるので局所的剛性を高めるために鋼で被覆する構造とした。接着材の選定と評価に細心の注意を払った。 3.完成した一号主軸の静剛性、固有振動数を測定し、有限要素法による計算値とほぼ一致していることを確認した。重量当たりの剛性値は、鋼製のものに比べて2倍に向上していることを確認できた。 4.軽量化により、加減速特性も改善され、毎分20,000に達するまでの時間を20〜30%短縮し得ることを計算で確認した。
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