本研究は、超精密な非球面を創成し、これを金型として別の基板に押し付けて形状を転写し、離型することにより超精密なレプリカ光学素子を製作する技術を開発するものであり、2010年に打上げを予定している斜入射宇宙X線望遠鏡の基盤製作技術となるものである。また、本研究はナノバイオX線顕微鏡システムの反射鏡製作の基盤技術となるものである。研究成果の概要は以下のようである。 1.US&A社のS.F.Soares博士に4回来日を願い、50μm角の測定範囲で数nmの分解能で超精密ダイヤモンド工具のノーズ半径を測定できる走査型レーザー散乱顕微鏡を開発した。本装置は非接触で、透明で極めて鋭いダイヤモンド工具の刃先輪郭を高精度に形状計測可能であり、走査型電子顕微鏡やレーザー顕微鏡を越える分解能での測定を可能とした。 2.X線望遠鏡では、形状誤差100nm以下、表面粗さ0.5nm rms以下の非球面形状の反射鏡が必要とされる。無電解ニッケルは超精密ダイヤモンド切削ができ、しかも光学研磨が可能な唯一の材料である。現在レプリカミラーに使用しているガラスマンドレルに替わる、無電解ニッケルマンドレルの製作を目指して、平面切削の最適加工条件を求めた結果、切削のみで表面粗さ0.344nm rmsが得られた。 3.次世代の硬X線望遠鏡を目指し、無電解ニッケル金型表面にPt-C多層膜を生成し、これをガラス基板に転写し、レプリカミラーを創成することを試みた結果、Pt単層膜は無電解ニッケルから完全に剥離が可能となった。しかし、Pt-C多層膜を無電解ニッケル金型から剥がすことは、現状では出来ていない。本件については今後の研究が待たれる。
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