研究概要 |
本年度は,先ず,昨年度に引き続きスパッタ薄膜を用いて接触部の検出を行なう方法の現出精度をより明確にするために,深さ44nmのV形溝をダイヤモンド圧子で引っかいて付けたガラス平面に滑らかな鋼球を押し付ける実験を行ない,併せてその接触による溝部の変形をFEMによる2次元解析を行なった結果は次の通りである.(1)実験的に求めた結果は,中心からの距離に対する,ヘルツの接触圧力と接触率はよく対応し,また最大接触率は,深さ44nmの溝の場合は約55%であった.(2)FEM解析から得られた接触率は,スパッタ薄膜による実験で検出した接触率とよく一致した.(3)このことから,今回用いているスパッタ薄膜による接触率の検出測定方法は,サブミクロン以下の寸法検出精度をもつことがわかった. 次に,数nmR_aの微小な粗さを鋼球試料表面につけた後にガラス平面に押し付けた場合の接触部をSPMの測定モードであるAFM(Atomic Force Microscope),DFM(Dynamic Force Mode/Microscope), Phase, LM-FFM(Latelal Force Modulation Friction Force Microscope), PFM(Puluse Foce Mode/Adhesion Mode), VE-AFM/VE-DFM(Viscoelastic-AFM/DFM)で測定し,接触部の現出性について検討した結果は次のとおりである.(4)接触部が平面である場合は,7つの各測定モードとも現出可能であることがわかった.(5)現時点で,各測定モードの中で現出性が高いのは,AFM,DFM,LM-FFMである.このことより,薄膜の高さの変化だけではなく,試料と薄膜材の物性の違いからも接触部を測定できることが確かめられた.さらに現在,接触させる試料の材質を変化させて種々実験を繰返して,本測定方法の有効性について検討中である.
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