研究概要 |
きさげ加工は高精度な平面度が要求される工作機械の案内面の製作には不可欠であるが,高度な熟練技術を必要する手作業で,近年熟練作業者が減少の傾向にある.そのため作業の自動化が試みられてきたが,それに際してきさげ面の定量的な性状評価法の確立が求められている. そこで,本研究ではCCDカメラから取得した画像情報に画像処理を用いて表面凹凸の解析を行う.それにより,きさげ面の表面凹凸形状,面精度評価手法の確立を目的とする. まず,きさげ仕上げ面観察のための実験システムを構築した.本システムは,CCDカメラ,画像処理用イメージキャプチャーボード,照明用ラインガイドからなり,きさげの凹凸分布を画像濃度分布として調べることができる.評価試料としては300×300mmのきさげ仕上げ面で,細仕上げ,中仕上げ,粕仕上げなど表面性状を異なる4つの精度のきさげ面を対象とし,以下の3つの観点から評価した.(1)グラフイックによる視覚的評価,(2)機能性による評価,(3)幾何形状による評価を行った.(1)としてはとして3DCGソフトウェアを用いて評価面を3次元グラフィック表示し,定性的に評価した.(2)としては表面粗さ測定による負荷曲線を求めた.負荷曲線とは表面凹凸を基準面からある高さで切ったときの断面積の総和と高さの関係を示した曲線である.(3)としてきさげ面を構成する突起が空間上にどのように配置されているのかを見た.具体的には最近接8点法を用いて局部頂上を算出し,その分布がどのようになっているのか比較した. また,きさげ仕上げ面の評価をトライボロジ的観点からも行うため,摺動摩擦試験装置の開発を行った.本装置はテーブル、スライダ,モータからなり,きさげ面の摺動摩擦力を0.02Nの精度で測定することが可能である3つの異なる精度のきさげ仕上げ面を使った実験では個々の表面性状の違いを明確にすることが分かった.
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