空力騒音発生機構の基盤的研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12450073
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 井上 督 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (00107476)
• 研究分担者: 畠山 望 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (50312666) ; 佐宗 章弘 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (40215752) ; 福西 祐 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60189967) ; 望月 修 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50157830) ; 石井 克哉 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60134441) ; 中村 佳朗 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80115609)
• キーワード: 空力騒音 / 渦 / 衝撃波 / エオルス音 / ジェット騒音 / CAA

研究概要

井上と畠山は、高精度(空間六次精度・時間四次精度)の有限差分スキームを二次元円柱まわりの流れに適用し、計算領域・メッシュ幅・解の妥当性などの数値的な確認を行うとともに、比較的低いレイノルズ数の場合について円柱のまわりの流れから発生するエオルス音の特性を調べた。その結果、エオルス音はカルマン渦の放出周波数と等しい周波数で発生することが確認できたほか、エオルス音の発生と揚力の変動は同一の現象であること、音の伝播はドップラー効果及び平均圧力場(擬音)の影響を受けることなどが判ってきた。今後更に現象の解析を行うとともに、レイノルズ数の効果や音の発生・伝播の制御方法について調べを進める予定である。また、井上は、衝撃波と渦輪の干渉現象における音波発生の軸対称シミュレーションを行い、衝撃波が強い渦輪と干渉する場合、生成される反射衝撃波が渦輪と干渉することにより新しい反射衝撃波を生成し、その新しい反射衝撃波が再び渦輪と干渉することにより更に新しい反射衝撃波を生成するという具合に次々と干渉を繰り返し、音波を生成する現象を見出した。中村は、音波を計算するためのGodunov型の計算方法を開発し、超音速噴流に適用することにより計算領域・メッシュ幅・解の妥当性などの数値的な確認を行った。流れ場及びジェット騒音発生機構を解明すべく解析を進めている。石井は、音波を精度良くとらえるための新しい差分スキーム(結合コンパクトスキーム)を開発し、二次元翼からの剥離流れや渦輪の追い越しなどいくつかの基本的な流れに適用し、計算領域・メッシュ幅などの確定と解の妥当性の数値的な確認を行った。また流れ場の解析を行い、新しい差分スキームの有用性を確認した。福西は、二次元キャビティにおける剪断流から発生する音の特性を実験的に明らかにし、能動制御を可能とするための実験準備(設備の調整、実験モデルの作成等)と初期データの取得を行い、当初の予定どおりの成果を得ている。望月は剥離流れから発生する音を実験的に調べ、音の性質を調べるとともに能動制御の可能性を明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] O.Inoue: "Successive Generation of Sounds by Shock-Strong Vortex Interaction"Physics of Fluids. Vol.12. 3229-3234 (2000)
• [文献書誌] O.Inoue: "Sound Generation by Coaxial Collision of Two Vortex Rings"Journal of Fluid Mechanics. Vol.424. 327-365 (2000)
• [文献書誌] O.Inoue: "Propagation of Sound Generated by Weak Shock-Vortex Interaction"Physics of Fluids. Vol.12,No5. 1258-1261 (2000)
• [文献書誌] O.Inoue: "DNS of Sound Generated by Cylinder Wakes"Proc.of 1st Int.,Conference on CFD 2000, Kyoto, Japan. (in press). (2000)
• [文献書誌] O.Inoue: "Parallel Computing of an Oblique Vortex Shedding Mode"Proc.of Parallel CFD 2000, Trondheim, Norway. (in press). (2000)
• [文献書誌] O.Inoue: "CAA of Coaxial Motions of Vortex Rings"AIAA paper 2000-1944,6th AIAA/CEAS, Hawaii, USA.. (2000)
• [文献書誌] 井上督: "円柱まわりの流れにより発生する音の直接数値計算"第14回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 33 (2000)
• [文献書誌] 井上督: "衝撃波と強い渦の干渉による音の発生"第14回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 34 (2000)
• [文献書誌] 井上督: "渦輪の追い越しと音波の発生"第14回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 36 (2000)
• [文献書誌] 井上督: "円柱まわりの流れにより発生する音の理論予測について"第14回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 40 (2000)
• [文献書誌] 福西祐: "ビエゾフィルムを用いたキャビティ騒音の能動制御"ながれ,日本流体力学会誌. 19巻3号. 200-2006 (2000)
• [文献書誌] Y.Fukunish: "Suppression of Aero-Acoustic Noise by Separation Control using Piezo-Actuators"AIAA Paper 2000-1931,6th AIAA/CEAS, Hawaii, USA.. (2000)
• [文献書誌] 福西祐: "キャビティ流れの動的制御による発生騒音の低減"日本流体力学会誌「ながれ」. 19巻別冊. 227-228 (2000)
• [文献書誌] 福西祐: "受容性を応用したキャビティ流れの動的制御"日本機械学会2000年度年次大会講演論文集(IV). No.00-1. 81-82 (2000)
• [文献書誌] 福西祐: "薄いセラミックアクチュエータによりキャビティから発生する空力騒音を低減させる能動制御"第50回理論応用力学講演会講演論文集,NCTAM2001. 195-196 (2000)
• [文献書誌] Y.Nakamura: "On Implicit Godunov's Method with Exactly Linearized Numerical Flux"Computers and Fluids,29,6,April 2000. 595-616 (2000)
• [文献書誌] Y.Nakamura: "Flow Field and Noise Charactersitics due to Supersonic Jet Shear Layer-Vortex Interaction"AIAA Paper 2000-2533,6th AIAA/CEAS,Hawaii, USA.. 1-11 (2000)
• [文献書誌] Y.Nakamura: "A Godunov-type Method for Computational Acoustics"AIAA Paper 2000-2329,6th AIAA/CEAS,Hawaii, USA.. 1-10 (2000)
• [文献書誌] K.Ishii: "Numerical Analysis of the Separation on a 2-D Airfoil by Acoustic Excitation"Computational Fluid Dynamics Journal. vol.9,no1. (2000)
• [文献書誌] K.Ishii: "NUMERICAL SIMULATION OF THE ACOUSTIC CONTROL OF SEPARATION OVER 2D AIRFOILS"AIAA-paper 2000-1996,6th AIAA/CEAS,Hawaii, USA.. 1-9 (2000)
• [文献書誌] K.Ishii: "Flow Simulation Using Combined Compact Difference Scheme with High Resolution"Abstracts of 53th Annual Meeting of APS. (2000)
• [文献書誌] K.Ishii: "Numerical Simulation of the Separated Flow around 2-D Airfoils at Moderate Angles of Attack"International Conference on Computational Fluid Dynamics. (2000)
• [文献書誌] 石井克哉: "結合コンパクトスキーム差分を用いた圧縮性流体の数値計算"乱流シンポジウム2000/7/25-27(予稿集). 299 (2000)
• [文献書誌] 石井克哉: "音による二次元翼の剥離制御の数値計算"乱流シンポジウム2000/7/12-27(予稿集). 517 (2000)
• [文献書誌] 石井克哉: "剥離境界層と音との相互作用"第50回理論応用力学講演会2001/1/23-25. (2000)
• [文献書誌] O.Mochizuki: "Feedback Control of Transient Noise due to Unsteady Separation"AIAA paper 2000-1932,6th AIAA/CEAS,Hawaii,USA.. 1-6 (2000)
• [文献書誌] O.Mochizuki: "Noise of Bubbly Flow Through Orifice"Proc.7th Intl.Conference on Flow Induced Vibrations. (2000)
• [文献書誌] 望月修: "突入水膜流による音"第28回可視化情報シンポジウム、東京. (2000)
• [文献書誌] 望月修: "仮想制音デバイスによるはく離騒音抑制"日本機械学会流体工学部門講演会、室蘭. (2000)
• [文献書誌] 望月修: "仮想制音デバイスによるはく離騒音の制御"第20回流力騒音シンポジウム、札幌. (2000)