研究概要 |
今日,軸流ポンプの高比速度化への要求は高い.しかし高流速化に伴うキャビテーション性能や効率の低下が避け難く,何らかの打開策を強く求められていた.そこで研究者らは,既に舶用プロペラ(スクリュー)等において実用になっている『二重反転式軸流ポンプ』の採用を考え,初年度における従来形である後置静翼形と二重反転形の比較試験,次年度における後段動翼設計パタメータの変更がポンプ性能に及ぼす影響調査の結果を踏まえ,追加実験とCFD解析により,後段動翼設計におけるパラメータの最適化に関する指針を探究した.その結果,前年度に得た(1)多翼・低弦節比翼後段動翼の採用は正規流量での高効率化をもたらし,前後段動翼列間干渉も弱いという長所を持つ反面,部分流量域における自翼の翼先端逆流の発生と前段動翼の三次元流れ発生を早めるため,揚程と効率の低下を招くこと,(2)少翼・鋼弦節比翼は,それとは逆の結果をもたらす,との結果を追証した.さらに,(3)後段動翼を回転数制御することによる広流量域での高効率化には,正規流量点での更なる高効率設計が鍵となること,(4)高キャビテーシヨン性能の可及的向上には,前段と後段の設計回転数を変えることが有効との指針を得た.これに関する検証は,今後早急にCFD解析と実験の両面から明確にしたいと考えている.また本研究期間中にやりを得なかった気体混入時での二重反転ポンプの有用性についても,急ぎ,調査の予定である.
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