研究分担者 |
池田 満里子 慶應義塾大学, 名誉教授 (00051368)
菱田 公一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40156592)
岡 浩太郎 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (10276412)
池田 康夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00110883)
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00206385)
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研究概要 |
血小板輸血は血小板減少症などが原因で起こる出血の治療や予防に対して、即時供給可能な血小板代替物の実現が望まれている.現在わが国では,Liposome及びAlbumin Micro Sphere(AMS)にrecombinant GPIbα(γGPIbα:血小板膜上の粘着に関わる糖蛋白を遺伝子組換えにより精製したもの)を固層化したものを人工血小板プロトタイプとして作製し,評価・検討することを行っている.そこで本研究では,人工血小板プロトタイプの一つγGPIbα-AMS(早大・武岡ら作製)を用いて,特に,血管が破綻し内皮下組織が露出した場合における人工血小板の粘着現象に着目し,その流体力学的な挙動を観察することを試みた.具体的には,血流中のγGPIbα-AMSの微弱蛍光像を可視化するため,灌流液として赤血球ゴーストを用い,更にHigh Speed Camera, Image Intensifier, Argon-ion Laser励起を組み合わせることによって,微小粒子の挙動を高時間・空間分解能で観察し評価・検討した. γGPIbα-AMSはリガンド壁面に特異的に粘着することから,血管破綻時,障害部位に特異的に粘着することが期待される.本研究において,壁面に人工血小板粒子が粘着した場合,その近傍での流れ場に乱れが生じることから,このとき壁面および粒子同士の衝突が促進されているということが予測される.今回用いた,人工血小板プロトタイプはリガンド壁面との粘着機能のみを持たせることを狙って試作されたものであるため,粒子同士の衝突が生じても凝集塊の形成には繋がらない.しかし,実際に臨床で用いる場合には,血小板が全く存在しない病態というのは考えられず,従って,単体では凝集能を持たない人工血小板であっても,その流体力学的な挙動が,残存する血小板との凝集塊形成に積極的に働き,血小板減少症時に止血機能を増強することが期待される.
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