研究概要 |
本研究は高温・高圧乱流燃焼の現象解明を目的とし,最高圧力4.0MPa,最高温度500℃までの予混合気に対する乱流予混合火炎を研究対象とする。乱流火炎構造の詳細な観測,乱流燃焼速度の計測,火炎面のDarrieus-Landau不安定性の成長速度および特性スケールの計測を行い,混合気温度および圧力との関係を詳細に調べ,高温・高圧下の乱流燃焼モデル構築と数値予測への指針を得る。 本年度は,空気加熱装置の設計製作,PIV計測とOH-PLIF撮影を同時に行う手法の開発,高解像度ICCDカメラの導入による火炎凹凸スケール計測法の改良と常温における凹凸スケール計測を行った。空気加熱装置は,多数の伝熱フィンとロッドヒータを内蔵した銅ブロックからなる電気加熱ヒータを設計製作した。このヒータを高圧容器内に設置することで,高圧容器最高圧まで空気加熱が可能である。PIVとOH-PLIF同時計測法の開発では,高圧容器内に安定化した層流火炎に対して,PIV計測のためのNd-YAGレーザ2パルス照射の間に,OH-PLIFのための色素レーザ1パルスを照射して2台のカメラよってPIVとOH-PLIFを同時に行うことが可能になった。これにより高温高圧における層流燃焼速度の測定を行った。さらに,1024×1024ピクセルの高解像度ICCDカメラを導入して,火炎最高分解能を56μmまで向上させ乱流火炎に対するフラクタル解析の精度を向上させた。常温高圧メタン-空気火炎において乱流燃焼実験を行い,フラクタル解析によって火炎凹凸の最小スケールであるフラクタルインナーカットオフを求めた。熱線風速計によって計測された乱流スペクトルとの比較検討を行った結果,乱れ強さが増大するとフラクタルインナーカットオフは低下し,Darrieus-Landau不安定性の擾乱成長率が最大となる波数に相当するスケールに収束していくが,そのときの乱れの特性スケールはコルモゴロフスケールの約10倍であり,DNSにより知られている等方性乱流中の渦管の平均直径に近いことが明らかになった。
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