研究課題/領域番号 |
12450090
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
渡部 康一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40051487)
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研究分担者 |
WIDIATMO Januarius V. 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師
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キーワード | 環境にやさしい冷媒 / 自然冷媒 / 炭化水素 / 代替冷媒 / PVTx性質 / 飽和蒸気圧力 / 熱力学性質 / 状態方程式 |
研究概要 |
低環境負荷の次世代混合冷媒の重要な成分物質のひとつである炭化水素系自然冷媒イソブタン(R-600a)を対象として、これまで信頼できる実測値情報の欠落している飽和蒸気圧力および低圧気相域でのPVT性質の精密測定を改良したバーネット法測定装置を用いて実施した。前者に関しては、300〜370Kの温度領域で16点、後者に関しては300〜380Kの温度領域で48点の実測値を得た。また、常温以下約250K程度まで到達できることが確認できたので、この温度領域での飽和蒸気圧力測定と測定装置に固有の装置定数の温度依存性の確認を年度末までに終了すべく、現在鋭意実施中である。 振動密度計を用いた密度測定システムについては、その構築を完了し、所期の性能と迅速な精密測定が実施できることを確認できた。今年度の一連の研究を通じて、純水、メタノールやR-134a、R-125およびR-143aの3種類のHFC系代替冷媒に関する測定を終了した。さらに、次世代冷媒の有力候補物質として開発されたHFE系冷媒であるHFE-245mcとHFE-143m、また炭化水素系自然冷媒であるプロパン(R-290)と上述したR-600aに関して、それぞれ圧縮液体密度の精密測定を鋭意継続中であり、今年度末までには完了の見込みである。 一方、解析的研究に関しては、R-290、R-600aならびにn-ブタン(R-600)の代表的な自然冷媒を対象として、それぞれの全流体域で成立し、共通の関数形を有するヘルムホルツ関数型状態方程式モデルの開発を終了し、国際学術誌に逐次掲載される成果を収めた。なお、炭化水素系自然冷媒とHFC系代替冷媒との混合冷媒に関する熱力学モデルの開発の前提となる、炭化水素系混合冷媒の熱力学モデルの開発にとって重要な役割を演じる混合則についても、有意義な研究成果を収めることができた。なお、既述した3種類の代表的な炭化水素に関する本研究で開発した熱力学モデルは、現在国際的にも幅広く活用されている米国の国立標準技術研究所(NIST)による熱物性値計算ソフトであるREFPROPの次期バージョンへの採用が約束されるなどの国際的な評価も得られたことを付記しておきたい。
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