研究概要 |
微小ピエゾ振動子を利用し,微細な細胞の環境ストレスを検知し得る無侵襲プローブセンサーを開発する.またこれを用いた動物卵細胞の環境ストレス検出実験および評価システムの構築をめざす.本年度は,1.ピエゾマイクロプローブセンサーおよび計測システムの構築,2.卵細胞を用いた環境ストレス検出実験および評価.について重点的に研究を遂行し,新たに以下の知見を得た. 1.両端自由または一端固定他端自由の境界条件を利用した二種類のセンサーを構築し,ショア硬さHs5〜Hs80のシリコンゴムブロックを測定した結果,本センサーシステムの性能が確認された. 2.メダカの卵細胞は,周辺環境の変化に対して以下のようなストレス反応を示すことが分かった. a.塩分濃度3.5%の食塩水に浸した場合,6分ぐらいの間に急激に硬化し,それ以降は一定値に収束することが分かった. b.機械的ストレスとして吸引圧力40kPaで吸い付けた場合,吸い付け直後から20分くらいまでに表面張力が増加し,硬化するがその後は一定値に収束することが分かった. c.環境ホルモンとしての影響が懸念されているグルホシネート(1000ppm)で培養した場合,受精後日数が経過するにつれて硬化することが分かった.さらに孵化率が低下することが分かった. 3.細胞膜をバネでモデル化し,力学的な解析を行った結果,比較的簡単なモデルで実験値を表現することが可能であることが分かった.
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