研究概要 |
本年度は,第一に細胞及び微小生体組織の小ささとやわらかさに対応できるシンプルかつ小型の無侵襲型センサーを開発した.第二に顕微鏡下でそれらの細胞,生体組織の固定・移動等の操作が可能な実験装置のシステムを構築した.このセンサーシステムを用いた環境生物学への応用として,メダカの卵細胞のグルホシネートに対するストレス反応をやわらかさの変化として検出し,その影響を調査した.第三に,再生医工学への応用として,骨膜片を付加させたウサギの再生軟骨と,従来の再生軟骨との硬さの違いを培養期間によって比較して,移植性評価法としての有用性を検証した.本研究の結果を要約すると以下のようになる. 1.グルホシネートに対するメダカ卵細胞の以下のストレス反応を検知できた. a.100ppmで培養した場合,本来卵膜の軟化に転じるべき時期になっても硬いままであることが分かった.さらに孵化率が低下することが分かった. b.10ppmで培養した場合,純水培養時の硬さまで硬化することなく,純粋よりも早く軟化に転じていることが分かった.また,やはり孵化率の低下が見られた.これはいわゆる低容量効果と考えられる. 2.一般に骨膜片が付加されない再生軟骨は骨膜片を付加された再生軟骨よりも硬いことが分かった.また,移植後の実用に耐える安定した硬さの再生軟骨は,少なくとも12週間の培養期間を必要とすることが分かった.
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