研究概要 |
本研究は,高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故で発生した,温度計ウェルの流れ方向振動に起因する温度計さや管の自励振動に関係するものである.動燃事業団からの報告書によると,特定の一本の温度計ウェルが損傷した理由は,損傷した温度計ウェル内の熱電対が曲がって挿入されたため熱電対鞘管の内壁に接触し,温度計ウェルは1自由度系として振る舞い,大きな振動が発生し疲労破壊に至ったとのことである.この事実は,損傷を受けなかった他の温度計ウェルでは,熱電対が熱電対鞘管の内壁に常時接触してはいないので,振動することが可能で,熱電対は副振動系の役目を果たし,ダイナミックダンパを構成し,熱電対鞘管の振動を抑制したため破損しなかったことを示唆している.この振動系のように,変動流体力作用下での副振動系の効果を解明することが本研究の目的である. 今年度は,重力落下式水槽を用いた流れの可視化と,加振円柱に作用する対象渦の放出による変動流体力の測定を行った.その結果,インライン方向に作用する流体力は,定常流体力,加振変位に比例する変動流体力,加振変位と90度位相のずれた変動流体力から構成されていることが判明した.さらに,これらは,換算流速(無次元流速)と加振振幅の関数であることが判明し,副振動系が内包されていない場合の力学モデル構築に向けての一歩を歩み始めた.測定結果を,日本機械学会機械力学・計測制御講演会において発表した.次年度は,振動発生機構に迫る力学モデルを構築し,その後,副系の付いた場合に関する検討を行う予定である.
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