研究概要 |
MR流体の基本特性を明らかにするために,まず研究代表者が近年様々な解析を行っているセルラオートマトンを適用して凝集プロセスの解析を試みた.セルラオートマトンは離散的モデル化手法の一種で,解析空間をセルと称する離散領域に分割し,各セルの上で何らかの状態量を定義し,その状態量を与えた局所近傍則と遷移則に従い離散時間に沿って推移させるものである.このシミュレーションは現時点では厳密な解を求めることが目的ではなく,定性的な評価を行うのに適している.このシミュレーションにより定性的ではあるが,MR効果のメカニズムを時系列的に明らかにした. 流体の評価を行い基本的特性を把握した上で,可変減衰器の設計を行い,構造模型に設置して制振実験を行った.従来の油圧式減衰器の形状に近いものが実用化に適していると考えており,基本設計は従来の減衰器に従う.相違はオリフィスを設けることなく磁場を加えて流体の流れを制御することにある.本研究の場合,減衰器のピストン部に電磁石を設置した.これを備品として購入を申請しているサーボパルサを用いて0.1〜1Hzの範囲で性能をまず評価し,さらに構造模型に設置してより高い振動数に関して研究代表者が現有する電磁式加振器を用いて加振を行った.その結果良好な制振性能が得られた.
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