研究概要 |
本年度は,微小物体の浮上に関する研究と多自由度のマニピュレーションに関する研究を行った.研究実績の概要は以下のとおりである. I.微小体を浮上させるためには,アクチュエータに即応性が求められるという知見を得ていたため,今回の試作ではアクチュエータとしてピエゾ素子を用いた.浮上対象物はベアリングボールとし,浮上対象位置および永久磁石位置をPSDを用いた光学センサーによって検出した.コントローラにはDSPを用いたデジタル制御により行い,D/A変換器の出力にフィルタを介してアンプに接続する構成とした.この装置により種々の大きさのボールを浮上させ,最小直径2mmのボールを浮上させることができた. II.多自由度の制御が可能なマニピュレーションを行うために,永久磁石の数を3つに増やした装置を試作した.この永久磁石の配置を決めるために有限要素法を用いて磁力の解析を行った.この結果,隣り合う永久磁石の磁極面を異極にすることにより,吸引力の制御が行いやすく,安定点を決めやすいことがわかった.この結果を参考に試作装置の製作を行った. III.試作装置を用いて非接触マニピュレーションの実験を行った.アクチュエータとしてボイスコイルモータを用い、センサーとして2自由度同時計測の可能な光学式のセンサを用いた.フィードバックゲインは装置のモデル化を行い・線形制御理論から求めた値を用いた.浮上体は16mmの鉄球を用いた.この結果,4mmのステップ応答,および4Hz程度の応答周波数が可能であることが確認できた.上に述べたように,微小物体の浮上と多自由度の非接触での操りという2つのテーマで研究を進めてきた.今後はこれらのテーマを統一し,微小物体の多自由度操りを行う予定である.
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