研究概要 |
本年度は,下記に示す各テーマに関する実験装置を試作し,種々の実験を行った.また,下記に示す研究機関へ試作機を貸し出し評価して頂いた. 1.静電気力を用いた細胞搬送装置の開発:今年度は,細胞保持用ホールディングピペットに微細電極を取付け(ピペット型電極),マウス卵細胞の回転制御を試みた.試作したピペット型電極を用いてマウス卵細胞を回転させることに成功した.ピペット型電極は,アルミニウムを蒸着したガラス管を加熱して伸張するという,極めて簡易な方法によって製作できた.これによって卵細胞の回転操作を実現することはできるが,各電極には形状のばらつきが大きいため,電極事に最適な印加電圧の条件をみつけなければならない.また予期せぬ個所に電界が集中し,そこから電気分解が生じるといったことも考えられる.今後はより精密で再現性の高いピペット型電極の加工方法を考案する必要がある. 2.電磁衝撃力を用いたマイクロマニピュレータの開発:核移植における脱核用ピペットは,ICSI用インジェクションピペットと比べると径が大きい.よって,圧電インパクトマイクロマニピュレータ(ピェゾマイクロマニピュレータ)では穿刺不可能な場合が有る.そこで,より大きな衝撃力が発生できる電磁インパクト機構を用いて,電磁衝撃力を用いた細胞穿刺システムを試作した.ピペット先端部を鋭利に加工せずブタ卵細胞に脱核用ピペットを挿入できた. 3.試作した自動化マイクロマニピュレーションシステムを下記に示す研究機関へ貸し出した. ・鹿児島大学,帯広畜産大学,東京農業大学,弘前大学,セントマザー産婦人科医院.
|