研究概要 |
(1)3次元空間での操作が可能なマスタスレーブシステムの構成と操作性評価 前年度で構成したマスタ・スレーブアームで動作確認を行った.特にマスタアームの動作範囲に制限があることから,狭い動作範囲のマスタアームでスレーブアームの動作範囲を有効に活用できる制御手法を考案し,実験的にその有効性を確かめた. (2)多指型マスタ・スレーブハンドの設計と改良 動的可操作性の概念を多指ハンドに拡張した動的多指可操作性を提案し,マスタ・スレーブハンド設計指標へと適用した.この結果に基づき,多指型マスタハンドの関節配置の適正化やリンク長の最適化を行った. (3)時間遅れで条件下での操作性の評価 通信途絶を含む時間遅れの条件下でも安定性が保証されるバイラテラル制御の操作性を実験的に評価した.学内LANを用いて,インターネット環境の時間遅れを擬似的に再現し,その上で実際に提案手法によるバイラテラル遠隔制御実験を行い,その有効性を確認した. (4)システムの評価とまとめ これまで得られた成果や知見を総合して,バイラテラル制御が可能な時間遅れには明確な限界はなく,その限度は行わせる作業の難易度に依存するという知見を得た.またベンチマークテストがシステムの操作性の評価に有効であり,また操作性向上のためのシステムの改良の指針を与えるなど,非常に有効であることが分かった.このベンチマークテストの考え方は遠隔操縦システムのみならず,他のロボット工学の分野(例えば移動ロボットの不整地踏破性の評価など)にも広く適用できると考える,最後に3年間の研究成果をまとめた.
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