研究分担者 |
峠 哲男 香川医科大学, 内科, 講師 (80197839)
山本 新 名城大学, 理工学部, 教授 (90288564)
呉 景龍 香川大学, 工学部, 教授 (30294648)
根来 清 山口大学, 医学部, 助教授 (10243651)
松永 尚文 山口大学, 医学部, 教授 (40157334)
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研究概要 |
1.メンタルワークロードとして,視覚情報を主とした運転行動に対し,聴覚情報とくに会話による運転行動への影響を調べた.メンタルワークロードとしての会話内容には,関心度と難易度大別分類できるが,一般に車内で難しい会話が行われないことに鑑み,会話内容は易しいものに限定し,会話内容の関心度について運転者にとって意味がある(関心)会話と意味がない(無関心)会話に分類した.メンタルワークロードの定量化には,脳波のα波の減少率と眼球運動の計測を行ったが会話内容の関心度との相関が認められた.会話と運転行動の関係は,ドライビングシミュレータにより,前方車輌急制動の場合と追従走行における車間距離の変化について調べ,基礎実験の結果とほぼ一致した. 2.人間の網膜には大量の視覚情報が常に入力されているにも関わらず,入力された全ての情報に対して同時に注意を向けることには限界がある.これは特徴探索問題であるが,結合探索問題の処理メカニズムとの連続性について検討した.先行研究で聴覚情報を負荷することにより,特徴探索と結合探索の両特性を示した矢印の方向性を探索する課題において,矢印の形状を変化させることだけで特徴探索と結合探索の両特性を示し,これらの情報処理メカニズムが同一のものであることが分かった.また,視覚的注意は提示される刺激の形状変化にともない連続的に変化することを示した. 3.多感覚認知機能と運動の学習との関連に関して検討した.二つの異なる音刺激を数秒間隔で加え,二つ目の音刺激を加えた後に,右手人指し指について一定の運動課題を与える.運動課題は右手人指し指の屈伸(NB課題)と右手人指し指でピンポン玉を目的場所に弾く(B課題)である.脳波は9つの部位に,眼球運動は眼瞼部に,手指筋活動は第1手掌伸筋に表面電極を付け測定した.運動の選択や準備状態が関連する陰性緩電位(CNV)は,B課題で早期および後期成分の有意な振幅の増大を認めた.運動の方向と強さを決定するためには視覚情報が重要であり,また,前回の運動を修正し次回の適切な運動を決定するためには,前回の運動時の体性感覚の記憶が必要である.このような過程は運動学習の過程と一致し,運動学習の効果に関連した変化と考えられる. 4.昨年からの継続課題の携帯通話に伴う不注視の検知は,思考集中に伴う視線の2次元の動きを調べ,思考課題の難易度と視線の2次元分布の分散値が良い対応を示すため,思考集中は視線の動きの挙動で検知することができる.
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