研究課題/領域番号 |
12450107
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
斎藤 浩海 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10202079)
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研究分担者 |
佐藤 博道 東北電力株式会社, 研究開発センター, 部長(研究職)
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キーワード | 電力系統 / システム同定 / 安定性 / 同期計測 / GPS / オンライン / エージェント |
研究概要 |
本研究の目的は、多地点で同時刻に計測した電力ゆらぎから大規模電力システムの動特性モデルをリアルタイムで同定し、その同定したモデルを利用して電力システムの安定度を評価する方法を明らかにすることにある。平成14年度は、昨年度までに開発したオンライン固有値推定法の妥当性の検証を中心に、以下の研究を行った。 1.固有値推定法の精度を、東北電力株式会社の実運用で使用されている電力システム動揺解析シミュレーションの結果を利用して評価した。その結果、周期の長い弱制動の系統間動揺モードに対応する固有値は、他のモードに比較して良好な精度で推定可能であるが、減衰特性の良いモードの固有値は推定しにくいことが明らかになった。また、固有値推定に必要な負荷変動データを多地点において直接に計測することが実際的な観点から困難であるため、負荷変動を直接に計測せずに、その確率統計的な性質を利用して固有値を推定する方法の基礎理論も明らかにした。 2.多地点で同期計測したゆらぎデータの並列分散処理による固有値推定法の開発に向けた基礎検討として、14台のPCから成るPCクラスタを用いて、競争環境における電力システムの需給バランス維持と潮流制御を支援する電力取引情報収集エージェントを開発した。さらに、モバイルエージェントの自律分散性、可動性などの特徴に基づき、電力システム分野におけるモバイルエージェント技術の適用可能領域を明らかにした。 3.本研究で開発した固有値推定法を2つの国際会議で発表し、その実現可能性について海外の研究者らと討議した。討議を通じて、固有値推定に有効な電力ゆらぎデータをいかに少ない地点から計測すべきかという点が、実用化にあたり最も重要な課題であることが明確になった。
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