研究課題
本研究は、3カ年計画で開始され、その初年度にあたる平成12年度には、プラズマ診断技術の確立を目指し、特に、2つのレーザ誘起蛍光法(LIF)の立ち上げを行った。1つは、狭帯域波長可変エキシマレーザ(KrF:248nm)を用いた強励起によるクェンチフリーのLIFによるOHラジカル計測である。最大450mJのレーザ照射により、OHの発生と減衰状況を2次元で観測することに世界に先駆けて成功した。対象は、サブマイクロ秒のパルス放電プラズマであるが、電極等を変化させることによりアークプラズマ、コロナ放電プラズマ、バリア放電プラズマによるOHラジカル発生を観測した。アークの場合、放電後、数十マイクロ秒後にOHラジカル濃度は最大となるのに対して、非熱平衡プラズマの場合には、少なくとも数マイクロ秒後には、OH濃度は最大となり、その後、減衰すること、減衰は、雰囲気により変化すること等が明らかとされた。尚、レーザ強度が強いことによる飽和特性がないこと、レーザ照射によるOHの発生が無視できることなど測定上の問題点を解決することができた。また、今後の問題点も明らかにすることが出来た。一方、一酸化窒素NOについても、励起レーザの波長を調整することで励起NOの2次元分布測定に成功した。但し、非熱平衡プラズマの場合には、信号強度が弱すぎて観測不可能であった。一方、YAGレーザ3倍高調波によって色素レーザを励起し、452nmレーザ光を発光させ、更に、それを倍波化することで226nmのレーザ光とし、基底状態のNOの2次元分布測定計を新たに構築した。プラズマ診断に用いた結果、クェンチ現象が大きいこと、NO現象に何らかのラジカルが寄与することなどが明らかになった。また、放電励起によるNO発光の2次元分布測定にも成功し、次年度以降の研究への足がかりとすることが出来た。
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