研究課題
本研究は、3力年計画で開始された。その最終年度に当たる平成14年度には、既に基礎特性が判明している2種類のレーザ誘起蛍光法(LIF)によるOHラジカルやNOなどの2次元観測、パルス放電後の生成と消滅観測を行った。クエンチの無視できる248nmエキシマレーザを用いたOHラジカル観測においては、超短パルス高電圧印加によるコロナ放電、バリア放電後の様子を世界に先駆けて研究している。ストリーマ中でOHラジカルが大量に生成されること、グロー放電中ではOHラジカル形成は極めて少ないことなどを明らかとした。放電電流とラジカル形成との相関を調べた結果、電子エネルギーは小さい方がOH形成が多いことがあることなどの知見が得られた。また、OHあるいはオゾン発生は、NOガスの存在、あるいは、トリクレンなどの有機物の存在によっても大きく影響されることが明らかとなった。226nmの色素レーザ2倍波を用いたLIFによるNOの測定では、OH同様、窒素雰囲気中ではストリーマ内部でNOが分解されていることが確認された。NOの濃度が少ない場合には、その後、ストリーマ周辺部のNOが分解されていくことからなんらかのno分解要素が拡散効果によって広がりそれにつれてNOの分解される場所がストリーマから外側に伸びる現象が観測され、NOを分解するラジカルの存在が明らかとなった。同様に、オゾンもストリーマ中で形成されていることが確認され、ストリーマの有効利用が非熱平衡プラズマの応用上極めて重要なことが判明した。また、OHラジカルの寿命は、雰囲気ガスによって大幅に変化することも判明しており、より有効にラジカルを利用する方式の検討が必要と思われ、今後の課題が明となった。
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