研究課題
基盤研究(B)
本研究は、平成12年度から14年度の3カ年研究として計画実行された。その間、非熱平衡プラズマによる環境汚染物質除去の対象物質としては、大気中に低濃度で存在する揮発性有機物(VOCs)ならびに燃焼排ガス中のNOxに集中して研究が行われた。装置的には、リアクターの改良、電源についての評価を行い、ボルト型バリア放電リアクターを50Hz高電圧駆動することでかなり実用に近い性能が得られることを明らかにした。更に、触媒と併用することでエネルギー効率が向上することを実証し、現在動作条件の最適化を目指している。反応機構の解析では、2種類のレーザ誘起蛍光法(LIF)をパルス放電プラズマに適用し、放電直後からのOHラジカルやNOなどの変化を2次元で観測可能となり、多くの研究成果を挙げることが出来た。例えば、ストリーマ中でOHラジカルが大量に生成されること、グロー放電中ではOHラジカル形成は極めて少ないことなどを明らかとした。放電電流とラジカル形成との相関を調べた結果、電子エネルギーは小さい方がOH形成が多いことがあることなどの知見も得られた。OHあるいはオゾン発生は、NOガスの存在、あるいは、トリクレンなど一部の有機物の存在によっても大きく影響されることが明らかとなった。226nm励起LIFによるNO測定の結果、窒素雰囲気中ではストリーマ内部でNOが分解されていることが確認された。NOの濃度が少ない場合には、その後、ストリーマ周辺部のNOが分解されていくことからなんらかのNO分解要素が拡散効果によって広がりそれにつれてNOの分解される場所がストリーマから外側に伸びる現象が観測され、NOを分解するラジカルの存在が明らかとなった。以上のように、多くの新しい知見が得られた。その結果、この成果を更に発展させ、より効率的なプラズマ処理技術の開発が可能となった。
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