研究概要 |
本研究では,無声放電式オゾナイザに用いられる誘電体の材質・表面状態を最適化することによって,これまでの問題点を解決し,オゾン発生効率を飛躍的に向上させることが目的である。今回作製したオゾナイザを用いることにより,以下のことが分かった。 1)誘電体としてアルミナを単体で用いた場合よりも,表面にSiO_2等の誘電体を蒸着した場合の方が,オゾン発生量が最大約1.8倍となった。 2)オゾンの原料として酸素を用いた場合よりも,Arを混入したほうが,低電圧状態におけるオゾン発生量が,増加することが分かった。これは,Arガスの方が電離電圧が低いため,一種のペニング効果のような現象が起こったためであると考えられる。 3)今回作製したオゾナイザにおけるオゾン収率は,最大340(g/kWh)となり,非常に高い値であることが分かった。 4)今回作製したオゾナイザを実際の下水処理に用い実際にどの程度水質向上ができたかを調べた。その結果,一般細菌や大腸菌群数は約3分程度の処理で,0(個)になることが分かった。また,COD濁度,色度と行った下水の指標を表す値も,20分の処理で約半分になることが分かった。 以上の成果は,電気学会(日)やAsian Conference of Electric discharge等で報告し,従来得られなかった重要な知見を得たものとして,高い評価を得た。 今後は本年度できなかった,電極や誘電体表面の細かい制御,ICCDカメラによる放電状態のモニタリングを行い,より高効率なオゾナイザの作製を目指す。加えて,本装置を用いた下水処理に関しても継続して行う予定である。
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