研究課題/領域番号 |
12450117
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本久 順一 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 助教授 (60212263)
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研究分担者 |
韓 哲九 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 研究機関研究員(講師)
安 海岩 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 研究機関研究員(講師)
藤倉 序章 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70271640)
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キーワード | フォトニック結晶 / 3角格子 / フォトニックバンドギャップ / 有機金属気相成長 / 選択成長 / TM偏光・TE偏光 / マスクパターン |
研究概要 |
平成12年度は、ネットワーク型の3角空孔格子型の2次元フォトニック結晶を対象として、その構造を有機金属気相成長(MOVPE)法による選択成長を用いて作製するための成長条件の最適化を試みると同時に得られた構造のフォトニックバンドについて理論計算を行った。 まず、電子線リソグラフィーとウェットエッチングにより、GaAs(111)B基板上に六角形の絶縁膜マスクを周期的に配置した後、その窓明き部にGaAsをMOVPE法を用い、様々な成長条件下で選択成長を行った。その結果、フォトニック結晶に応用可能な周期構造を得るためには、(111)B面に対して垂直な{110}ファセット面の横方向成長を抑制すること、および、{110}ファセット面が接合したコーナー部に発生する、{111}B面に対して傾いた{111}A面あるいは{111}B面の発生を抑制すること、および、そのためには、マスク上での再蒸発を効果的に促進することが重要であることが見いだされた。同時に、構造の周期が短くなると共に、マスク上での付着Ga原子の再蒸発率が減少するために、{110}面の横方向成長速度が大きくなることが明らかとなった。これらの実験結果をもとに、成長速度・成長温度、およびアルシン分圧を最適化した結果、10μmから0.5μmの周期を持つ、{110}垂直ファセットにより構成されるネットワーク型の周期構造が形成可能であることが明らかとなった。 次に、実験により得られた構造パラメーターを用い、平面波展開法を用いることにより、フォトニック結晶のバンド構造を計算した。その結果、実際に作製された、6角柱空孔型の2次元3角格子フォトニック結晶が、TM偏光に対してフォトニックバンドギャップを持つことを明らかにした。同時に、この構造で大きなフォトニックバンドギャップを得るためには、またTE偏光に対してもフォトニックバンドギャップを持つためには、空孔の部分の面積をある程度大きくする、すなわち、GaAsの{110}ファセット面の横方向を抑制することが重要であることが確認された。
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