研究課題/領域番号 |
12450117
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本久 順一 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 助教授 (60212263)
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研究分担者 |
佐藤 威友 北海道大学, 電子情報工学専攻, 助手 (50343009)
橋詰 保 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 助教授 (80149898)
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キーワード | フォトニック結晶 / フォトニックバンドギャップ / 有機金属気相成長 / 選択成長 / マスクパターン / 再成長 / 2次元フォトニック結晶スラブ |
研究概要 |
平成14年度は、有機金属気相成長(MOVPE)選択成長法により2次元フォトニック結晶を作製する手法を確立するため、以下のような研究を行った。 まず、GaAs(111)B基板上で、横方向成長を抑制し、形状のよい空孔周期配列型のフォトニック結晶を作製するため、結晶成長時に供給する原料ガスの供給シーケンスについて検討と最適化を行った。具体的には、(A)AsH_3のパルス的供給モード(B)<TMGa/AsH_3>両者のパルス的供給モード、および(C)流量変調エピタキシー(FME)モード、の3種類のガスフローシーケンスについて検討した。その結果(A)および(C)の供給モードについて、横方向成長を抑えた、良好な形状を有する空孔の2次元周期配列構造の作製に成功した。また、供給量あるいはFMEにおけるIII族原料供給後の水素パージ時間を最適化することにより、形状を保持しつつ、成長速度を増加させることに成功した。さらに、作製した、より形状の優れた空孔周期配列構造を利用し、前年度確立された再成長技術を用いて、1.3μm〜1.55μm帯にフォトニックバンドギャップを有する、フォトニック結晶スラブの作製に成功した。 最後に、InP基板状にInPおよびInGaAsの6角柱型フォトニック結晶の作製を試みた。円形あるいは6角形の空孔を有する(111)B面マスク基板に対してInPの選択成長を行った場合、InGaAsの場合とは異なり、良好なInPの6角柱構造は得られず、そのかわり、[111]Aと考えられる方向に伸びた、テトラポッドのような3次元物体の形成が観測された。一方、同様のマスクパターンを有する(111)A面基板に対しては、結晶成長条件の最適化により、垂直な{110}面ファセットを側壁に有する、良好なInP6角柱構造が形成されることを確認した。これらの結果は、IGaAsやInGaAsの場合の傾向と異なっている。これは、GaやInがAsが存在する表面に固着する確率と比べ、InがPの存在する表面に固着する確率が小さいために、In原子の結晶への取り込み過程が、結晶成長により強く影響を与えているため、またIn原子とP原子とのイオン性の差が大きいために、通常の閃亜鉛型に加えて、ウルツ鉱型の結晶構造が混在して積層欠陥が導入されやすいためであると考えられる。
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