研究概要 |
現在光を用いた空間並列多重通信とこれを用いた光インターコネクション,光並列情報処理が是非とも必要であるとの認識が高まり,その光源として面発光レーザとその集積化の研究が活発に進められている。しかしレーザの光出力は発振しきい値に敏感なため,大規模(>100)に集積化するにはレーザ特性の均一性が要求され,各レーザの光出力をそろえるという観点から集積度が増すにつれyield(良品率)に関する困難が増大する。この点,将来的にはモしきい値の無いレーザモができれば理想的である。本研究では当該研究者らがフォトニック・ドットと呼ぶ3次元フォトニック量子構造を作製し,強い励起子ムフォトン結合に基づく顕著な自然放出の増大(Purcell効果)・抑制に関する検討を目指している。 本年度は具体的にこのような小さな光構造を作製する方法として,半導体薄膜の選択成長の研究を進めた。(001)結晶表面を持つGaAs基板を用い,その表面に走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビームを走査することにより表面にマスクを形成する。これを用いてZnSピラミッドを選択成長した0.8mmx0.8mmの正方形マスク開口を,その辺が<100>結晶軸方向に向くように位置あわせをすると,選択成長したZnSの側面は,GaAs基板の(001)表面から37.の角度に向いた等価な4つの{034}結晶面からなる。このようなピラミッド型共振器について反射スペクトルを測定することにより,共振Q値として約5000というかなり大きな良好な特性を観測した。これはこうしたサブミクロンの微小な構造が3次元の光共振器として働いていることを示している。
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