本年度は最終年度であり、以下の点について調査する。 (1)前年度の結果より、レーザ色素であるローダミンB(RhB)を微量添加したポリカーボネイト(PC)膜の光伝送特性はArレーザ処理によってレーザ処理しない膜およびRhBを添加しない膜等に比べて格段に改善されることが明らかとなった。しかしながら、レーザ処理しない部位の屈折率のほうが高くかつ伝搬損失も大きいために、現状の方法ではレーザ処理部に有効に光を閉じ込めるようなパターン形成が困難である。そこで、本年度計画として高分子薄膜のパターン化のためのレーザ処理条件の導出、最適な高分子材料(フッ素化ポリイミド)の選出とフォトリソグラフィー技術の導入等を検討していく。また、本研究で提案する液晶結合型薄膜光導波路にプリズムカップリング法によりレーザ光を入射するためには0.1°以下での微妙な確度調整が要求される場合がある。特に、高分子と液晶の屈折率差は小さいためにその要求は一層重要となる。そこで、入射角の確度分解能をあげるために、コンピュータ制御された回転器を導入する。また、これとコンピュータを用いた数値計算によりμmオーダーの薄膜の屈折率や膜厚測定に優れたm-Line法の導入を行い、各種光学定数の精度向上を試みる。 (2)前年度の結果から、液晶セルを結合した酸化タンタル薄膜光導波路において液晶層に電場を加えることにより光制御可能であることを見出した。本年度は、パルス発生器やデジタルオシロスコープを組み込むことにより、素子を流れる電流あるいは出力光の過度特性について調べ本構造の素子の応答速度等の性能評価を行う。 (3)本研究(3年間)で得られた成果をまとめ報告書を作成する。
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