研究課題/領域番号 |
12450124
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
森迫 昭光 信州大学, 工学部, 教授 (20115380)
|
研究分担者 |
武井 重人 信州大学, 工学部, 助手 (50262689)
松本 光功 信州大学, 工学部, 教授 (80020981)
|
キーワード | 垂直磁気記録 / バリウムフェライト薄膜 / 六方晶フェライト薄膜 / 非晶質下地層 / 窒化アルミ / 酸化アルミ下地層 / スパッタ / 酸化物薄膜 |
研究概要 |
本研究は、磁気異方性の大きな材料であり、現在用いられている金属系薄膜磁気記録媒体に比して、熱的安定性、機械的性質に優れていると考えられる、六方晶フェライト薄膜を高密度記録媒体への適用を目的として行ったものである。具体的にはバリウムフェライト薄膜に注目して、第3元素添加による磁性粒子の微粒子化を図ろうとしたものである。本研究では下地層が上部フェライト層の結晶学的性質や磁気的性質に重要な役割を果たすことを明らかにした。具体的には下地層からの元素拡散によって元素添加と同様の効果をもたらす下地層の検索を行った。六方晶フェライト薄膜のC軸配向性を向上する目的で六方晶の窒化アルミ薄膜、更には非晶質酸化アルミを下地層に用いて検討を行った。窒化アルミ層上のバリウムフェライト薄膜層にはアルミニウム、窒素の拡散領域が形成され、C軸配向性が向上することが明らかになった。また高保磁力化も可能であった。しかしながら窒素の同時拡散により非磁性層が形成されることも明らかになった。すわわち超高密度記録媒体として極薄のバリウムフェライトの薄膜の作製は不可能であった。一方、非晶質酸化アルミ層上のバリウムフェライト薄膜は、膜厚が20nmと極薄領域において、その粒子径が20nm程度にまで微細化され、保磁力も2〜3kOeと高い値を得ることが可能となった。従来用いてきた非晶質Ba-Fe-O下地層(a-BaM)との比較では、結晶配向性はほとんど同じであるが、磁化曲線のおいて大きな相違が認められた。BaM/a-BaM薄膜では、面内の磁化曲線にヒステリシスが観察され、多少の面内磁化成分を含んでいた。しかし、BaM/a-AIO薄膜では、面内方向の磁化曲線にヒステリシスは観察されず、面内の磁化成分は極めて小さいことが明らかになった。これは現在検討中であるが、表面極近傍においてもC軸が膜面に垂直に配向しているためであると考えている。このことは、超高密度垂直磁気記録媒体としてふさわしい特性であり、記録分解能の大幅な向上が期待できる。以上のように元素添加を下地層からの熱拡散によって行うことにより、バリウムフェライト薄膜の特性を大幅に向上することができた。さらに粒界にアルミニウム酸化物を析出させ、磁性粒子間の磁気的結合を遮断するための検討が必要である。
|