研究課題/領域番号 |
12450127
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 光 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90195800)
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研究分担者 |
米田 健司 松下電子工業, プロセス開発センター, 主任研究員
高橋 昌男 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (00188054)
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キーワード | 白金触媒 / シリコン / 二酸化シリコン / リーク電流 / 極薄酸化膜 / MOS / O-イオン / AFM |
研究概要 |
白金の触媒作用を用いて二酸化シリコン膜を改質してリーク電流密度を低減すると共に、白金処理による表面、界面状態の構造の変化を観測することを目的とした研究を行った。シリコンウェーハを熱濃硝酸に浸すことによって1nm程度の二酸化シリコン膜を形成し、その上に約3nmの白金膜を堆積し、この構造を酸素雰囲気中300℃で加熱した。その後、王水を用いて白金膜をエッチングして、露出した二酸化シリコン膜の上にアルミニウム電極を形成してMOS構造とした。この白金処理を施すことによって、リーク電流密度は、1/100以下に減少した。原子間力顕微鏡(AFM)を用いた観測によって、硝酸によって形成した二酸化シリコン膜の表面は、洗浄直後の表面や硫酸+過酸化水素水、塩酸+過酸化水素水を用いて形成した二酸化シリコン膜よりもスムーズであることが分った。硝酸で形成した二酸化シリコン膜に白金処理を施すことによって、その表面、及び界面が更にスムーズになることをAFMを用いた観測によって確認した。白金処理によるリーク電流密度の減少は、1)二酸化シリコン膜の膜厚の均一性の向上、2)二酸化シリコン中の欠陥密度、界面密度の低減によるものと結論した。MOS構造では、二酸化シリコン膜中に電界が生じるが、その電界の強さは膜厚の薄い部分で強くなるため、白金処理中に生成するO^-イオンのSi/SiO_2界面への移動が促進され、膜厚の薄い部分が選択的に酸化され、膜厚の均一性が向上すると結論した。更に、O^-イオンは非常に活性なため、二酸化シリコン中の欠陥準位や界面準位と反応してこれらを消滅させると結論した。
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