研究概要 |
電流の自己組織化現象により形成される陽極酸化アルミナ皮膜の微細孔ハニカム配列の異方性構造に着目し、アルミナ皮膜を電着のテンプレートとして利用する磁性体の高アスペクト比微細加工法の開発を実行した。アルミナ皮膜を電着のテンプレートとして利用するためには、(1)バリア層と呼ばれる絶縁層の除去、(2)50〜100nm直径の超微細ポア孔に電解液を持続して注入する、技術の開発が必要であった。(1)に関しては、Al基板上に蒸着したAu膜を陽極電極とすることで電流による酸化作用をAl-Au界面でストップさせた。(2)に関しては200μm厚みのアルミナ皮膜を剥離し、ポア孔に電解液を圧力貫流させることで課題をクリアした。この結果、直径50nm〜10μm,長さ100〜200μm,最大アスペクト比2000の磁気繊毛と磁気繊毛管を作成する技術を開発した。これにより、反磁界の効果が小さい磁気マイクロマシン用ヨーク材を得ることに成功した。 アモルファスワイヤ磁歪振動マイクロモータを作製し、動作原理と負荷特性について検討した。本モータは磁歪に由来する磁気弾性共鳴の横振動が、支点を通して回転運動に変化する事、従って、場所を最適に選ぶと回転子の50倍の重さの負荷を印加できることがわかった。これにより角運動量がワイヤ単体時に比べて2500倍に増加しマイクロジャイロセンサへの応用の途が明らかになった。
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