研究概要 |
2年度目は、資源が豊富で環境に優しい直接遷移型半導体β-FeSi_2の高品質連続膜のMBE成長とp-n接合を作るための伝導形制御、他研究機関で連続膜が成長しているSi(111)基板上へのMBE成長の検討をした。 MBE成長ではどうしても、p型のβ-FeSi_2膜しか得られなかったが、これは使用したFeのロットが多層膜成長の時と異なったためで、多層膜成長と同じロットのE-gun用Feソースを用いたところ、組成を変えることによってp,n反転が見られた。しかし、p,n反転するSi/Fe比が2.6と多層膜の場合の1.85よりもはるかに大きかった。この原因は、この比は蒸着したはずのSiとFeの比であるが、MBE成長(同時蒸着)の時の方が測定あるいは制御が難しいためであろう。今後、成長した膜の実際のSi/Fe比を測定することが必要である。 MBE成長したβ-FeSi_2膜のXRD強度は多層膜成長のものより強く、かつキャリア濃度も低かったが、キャリアの移動度は多層膜成長のものよりずっと悪かった。この原因は必ずしも明確になっていないが、表面の平坦性がやはりMBE成長したものの方が悪いのが原因と考えられる。 Si(111)基板上への成長に関しては、Templateとしてのβ-FeSi_2のRDE成長の最適温度が、Si(001)基板上の470℃に対して、650℃と高いことが判った。このTemplate上に(220)配向のβ-FeSi_2のMBE成長が出来ることが判った。
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