波長多重光システムのための新しい超広帯域光ファイバ増幅器・レーザの研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12450138
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 山下 真司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (40239968)
• 研究分担者: 保立 和夫 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60126159)
• キーワード: 光ファイバ増幅器 / エルビウム / Lバンド / 広帯域 / 光ファイバグレーティング / レーザ / 波長可変 / 波長多重

研究概要

本研究は、研究代表者の山下が提案している反転分布制御光の必要がない新しい構成の平坦化長波長帯(Lバンド)エルビウムドープ光ファイバ増幅器(EDFA)、およびLバンド増幅を利用した超広帯域波長可変光ファイバレーザを実現し、さらにこれらのデバイスを波長多重(WDM)システムでデモンストレーションしようとするものである。
本年度は、提案した新しい構成のLバンドEDFAの実現と最適化を行った。研究代表者の山下は、EDFA内に光ファイバグレーティング(FBG)レーザをインライン型で組み込んだLバンドEDFAを提案している。FBGレーザは発振波長以外では透明であるためインライン型で使うことができるので、FBGレーザをLバンド増幅用のEDFの前後にFBGを組み込むことにより構成する。まず計算機シミュレーションにより、最適なFBGの波長・反射率、EDF長などの設計を行った。さらに、このLバンドEDFAを実際に作製し、平坦な利得特性、利得クランプ特性、さらに良い雑音特性を持つことを計算及び実験で示した。
また、波長可変光ファイバリングレーザの広帯域化を実現した。従来の光ファイバレーザはCバンドでしか発振できないが、LバンドEDFAと同様に長尺のEDFを利得媒質として用いることによりLバンドでの光ファイバレーザが実現できる。現在のリングレーザのEDF長や出力カプラの分岐比等の最適化を実験と計算機シミュレーションにより進め、80nmの波長可変域を実現した。

研究成果

• [文献書誌] S.Yamashita and M.Nishihara: "L-band erbium-doped fiber amplifier incorporating an inline fiber grating laser"IEEE Journal of Selected Topics imt Quantum Electronics. (掲載予定). (2001)
• [文献書誌] S.Yamashita and M.Nishihara: "Widely tunable erbium-doped fiber ring laser covering both C-band and L-band"IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics. (掲載予定). (2001)
• [文献書誌] S.Yamashita and M.Nishihara: "Long-wavelength-band erbium-doped fiber amplifier incorporating an inline 1.55μm-band fiber grating laser"Optical Electronics and Communications Conf. (OECC'2000). no.12B1-1. (2000)
• [文献書誌] 山下真司,西原真人: "二波長励起による長波長帯EDFAの利得平坦化"2000年電子情報通信学会総合大会. no.C-3-31. (2000)
• [文献書誌] S.Yamashita and K.Torii: "Cancellation of spectral spread in highly efficient optical fiber wavelength converters"IEE Electronics Letters. 36・24. 1997-1998 (2000)
• [文献書誌] S.Yamashita and D.Matsumoto: "Waveform reshaping based on injection locking of a distributed-feedback semiconductor laser"IEEE Photonics Technology Letters. 12・10. 1388-1390 (2000)
• [文献書誌] 山下真司: "光ファイバ増幅器の解析(「WDM、DWDM用光デバイスおよびその材料と技術開発」中の一章)"技術情報協会. 340 (2000)