研究概要 |
1.重み付け電子線露光によるチャープトグレーティングの試作とDFBレーザへの応用:重み付け電子線露光によるチャープトグレーティングの描画法を提案した.本描画法は,フィールドサイズ変調法に重み付け電子線露光を組み合わせることで,線型チャープトグレーティングを形成するものである.また,実際に線型チャープトグレーティング(CG)分布帰還型(DFB)レーザを試作し,その光双安定性を観測した.測定結果によれば,CG DFBレーザにおいて双安定遷移が生ずる光パワーは,通常のDFBレーザに比べ約1/4と小さく,入力光の波長についても,通常のDFBレーザに比べほぼ2倍の範囲で双安定性が観測された. 2.多波長利得結合DFBレーザアレイの試作と発振波長トリミング:波長分割多重(WDM)光通信用の光源として,多波長利得結合DFBレーザアレイを研究,試作した.多波長発振用の回折格子は,フィールドサイズ変調電子線露光により形成し,利得結合は吸収性回折格子により付与している.試作された1.55μm帯の4波長レーザアレイにおいて,ほぼ均一な閾値電流分布と発振波長間隔が確認されている.現在本レーザアレイに発振波長トリミングを施して,波長間隔誤差を消去せんと試みている. 3.応力補償による半導体レーザの温度無依存化:アクセス系の光化・波長多重化に向けて,半導体レーザ特性の温度依存性を低減化することにつき研究している.具体的には,全く新たなヒートシンク構造により温度に応じた歪みを半導体レーザに与え,本来の温度特性をキャンセルせんとするものである.本年度は理論解析とヒートシンク構造の設計,試作に重点を置いた.現在,半導体レーザを同ヒートシンクに実装し,温度特性がどのように変化するかを評価中である.
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