本研究は、新しい研究分野の創製を目指し、光と超伝導を融合させた超伝導フォトニクス研究分野を開拓するため、フェムト秒レーザーを用いた高温超伝導体からのテラヘルツ電磁波放射や、超高速電荷変調による光磁束量子生成など新しい課題に取り組むとともに、具体的な応用を導くべく、光スイッチとジョセフソン接合を組み合わせた光マイクロ波変換システムや、レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡など、まったく新しい発想に基づく、応用的研究まで幅広く取り組んだ。その結果以下のような成果が得られた。 1)ポンプ・プローブテラヘルツ電磁波励起観測システムを構築し、半導体・高温超伝導体の光励起電荷ダイナミクスを100フェムト秒の時間分解能で観測し、高速散乱機構を解明した。2)磁場印加時にタリウム系高温超伝導体からのジョセフソンプラズマ放射を観測した。3)単一フェムト秒光パルスの2次元情報を磁束量子分布に変換できる新しい物理現象を発見しその応用として、フェムト秒光パルスの2次元検出器や光制御器に開発が可能であることを明らかにした。4)SQUIDを組み合わせた、光メモリーを試作し、その動作を確認した。5)レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡を開発し、超伝導電流イメージングシステムを構築した。6)フォトミキシング光光スイッチ/高温超伝導体ジョセフソン接合ハイブリッドシステムを開発し、その光波長検出器や、テラヘルツ電磁波発生標準システムヘの応用を提案した。7)光変調型磁束量子テラヘルツトランジスターを提案・試作し、その単一磁束量子演算回路光インターフェイスへの応用の可能性を明らかにした。 以上、フェムト秒レーザーによる超伝導電荷変調現象を明らかにし、その機能を用いた様々な新機能フォトニックデバイスおよびシステム提案することができ、本プロジェクトの目的は達成された。
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