研究概要 |
本研究は現在のネットワークアーキテクチャを再度根本から捕らえなおし,新たなるフレームワークの構築を進めることを目的として行われている.近年,ネットワーク技術,デバイス技術等の進展により,将来のネットワークではソフトウェア,ハードウェアを問わず,通信機能と組み合わされたデータ処理機能がネットワーク上に遍在する環境(機能遍在環境)を想定できる.一方で,無線ネットワーク等の普及により,ネットワークアプリケーションサービスには,時間や場所にとらわれずにサービスを実現できる分散透過性と,状況に応じて適切なサービスを提供できるコンテキスト適応性の両方を備える環境適応型サービスへの要求が高まりつつある.本年度の研究では,ネーミングシステムをベースに任意の環境適応型サービスを機能から動的に合成するネットワークアプリケーションサービスプラットフォームを考案し,その初期的実装評価を行った.具体的には,ネットワーク化された機能のネーミングアーキテクチャを設計し,機能を接続するという観点からスケーラブルかつロバストなネーム管理・解決手法を考案した.また,アーキテクチャをJava上に実装し,ネーム解決とサービス合成の初期的なパフォーマンス測定を行った.さらに,音声処理機能,ビデオ処理機能,ユーザインタフェース機能など,基本的な機能群を実装し,それらを利用した初期的なアプリケーションサービスとして,モバイルプレゼンテーションサービスや"Connect to"サービスなどを実装した.
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