研究概要 |
1.システム設計過程の基礎数理モデル(角田) システム設計の過程を実体(要素)とその接続,構造,機能,仕様,環境などの集合・写像論的に論じ,抽象的設計論の構築を目指した.なお,この分野の研究交流を行うため,「設計論と機能論」研究集会を8月16日に神戸にて開催し,工学のみならず,科学哲学などの分野から33名の参加者があった. 2.システム設計のフレーム(田浦) システム設計が設計フレーム(解空間(設計空間),問題分割,注視点,評価関数等によって表現されるようなもの)を定める過程と,定められたフレームワークのなかで設計解探索を行う過程の2つの過程から構成されるものであるとすると,創発的設計の特徴は,設計フレームを設計プロセスの途中で動的に変化させることにあると考え,設計フレームを生成するメカニズムについて,クラシフィケーション理論を用いた数学的モデルの作成や階層的分類子システムを用いた設計フレームの蓄積・伝達・再利用に関する研究を行った. 3.システム設計に対する創発形計算モデルの構築(北村,玉置) 最適意思決定支援という観点から,遺伝アルゴリズムに基づく機械学習方式の実際問題(リアルタイム倉庫選択問題)への適用を図るとともに,資源循環システムのモデル化手法(自律分散型の意思決定モデル)および不確実最適化問題に対する遺伝アルゴリズムの構成方法(遺伝アルゴリズムの年齢構造モデル)に関する基礎的検討を行った. 4.システム設計に対する創発的方法論の構築(北村,村尾) 人工システムの設計を生物における遺伝子型と表現型で記述し,これに進化計算論を適用し,逆問題である設計過程を順問題の繰り返しにより解く手法を開発してきた.今年度はこの進化計算に共進化の概念を取り入れ,探索過程において動的に遺伝子の構造を変化させることにより,状態空間内の探索のみならず,状態空間そのものを探索することが可能となり,従来の進化計算法を改善できることを示した.
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