研究概要 |
本研究では,人間の意志を脳波から識別し,マンマシンインターフェースに利用する方法を確立することを目的として,認識や運動に関連した脳波の識別に関する研究を進め,以下の研究成果を得た. (1)予測を伴う聴覚認識時の脳波識別 被験者に,絵を視覚刺激として呈示し,その後発音を聴覚刺激として与え,呈示した絵と発音が一致しているかを被験者に判断・ボタン押しさせる実験を行い,被験者が呈示された絵の発音を予想し,その後に与えられる発音が,予想と一致する場合と,一致しない場合の,応答脳波の違いに関して,検討を行った.その結果,刺激の意味によって変化する事象関連電位の存在を確認した.また,その結果を基に,単一試行データの識別を試み,発音の種類・長さ等を考慮する必要があることを確認した. (2)運動に関連した脳波変動の検出 右手・左手をディスプレィからの指示に応じて動かすことを想像することを被験者に義務づけた実験によって得られた脳波2ch(C3,C4)の識別を,(1)多次元ARモデル,(2)各チャンネルの信号を独立とみなした1次元ARモデルの結合系モデルを用いて行った.その結果,推定パラメータ数が少ない(2)のモデルのほうが識別精度が良いこと,また,脳波導出に関して,双極誘導信号と周辺4電極の平均を引いた信号で,識別に寄与するチャンネルが変わる現象が観察され,信号導出法によって,同一箇所の脳波から異なる情報を抽出できる可能性があることを確認した. (3)動作想像時脳波波形識別実験システムの構築 動作想像時の脳波をリアルタイムに識別し,被験者へその結果を視覚的にフィードバックできる実験システムの開発を行い,これまで海外共同研究者から提供を受けていた実験データを自研究室で追実験・採取できる体制を整えた.また,生体信号に応じてロボット(AIBO)を駆動する実験システムの開発を行い,筋電位信号を利用して,その動作確認を行った.
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