研究概要 |
本研究では,人間の意志を脳波から識別し,マンマシンインターフェースに利用する方法を確立することを目的として,運動や認識に関連した脳波の識別に関する研究を進め,以下の研究成果を得た. (1)運動に関連した脳波変動検出 ディスプレイからの指示に応じて,右手や左手を動かすことを想像するよう被験者に義務づけた実験によって得られた脳波2ch(C3,C4)に対して,有向情報量解析,ARモデル・準ARモデルに基づく特徴抽出,および統計的パタン認識法・クラスタリング手法を用いた識別を試みた.その結果,学習を積んだ被験者では85%以上の精度で識別可能なこと,想像する手(右手,左手)によって,C3,C4間に流れる情報量に偏りが見られること,ARモデルに基づく手法で高い識別精度が得られない場合,クラスタリング手法を併用することや準ARモデルを適用することによって識別精度の改善が可能であることを確認した. また,動作想像時の脳波をリアルタイムに識別し被験者へフィードバックことにより,3日〜4日程度の実験によって被験者の学習が進み,識別精度が向上すること,また,異なる被験者から抽出されたパラメータを用いてフィードバックを行っても,被験者はある程度適応可能であることを確認した. (2)視覚・聴覚認識時の脳波識別 マンマシンインターフェースにおいて被験者の意志に反する誤動作を脳波から検出することを目的に,視覚刺激や聴覚刺激に対する応答脳波の解析を行い,周波数成分の変動や,高振幅波形が出現する電極部位の1時間的変動に特徴がある可能性を確認した. (3)マンマシンインターフェースへの応用 脳波からの情報を基にAIBO(SONY製)を操作するシステムを作成し,最適な脳波処理データ長・操作指令間隔等のパラメータに関して検討を行った.また,実際に健常者に対して実験を行い,実用上の問題点に関して検討を行った.
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