研究概要 |
(1)微小流路内における流れの3次元観察手法の確立(庄子・船津) マイクロマシーニングにより微小流路を形成し,サンプルとして1μm径の蛍光ビーズを用い流路中の流れをマイクロレンズとオリフィスの組み合わせた共焦点光学ユニット(Yokokawa:CSU)を用いたフレーム撮影光学系を用いて面方向の速い流れの観察を実現した。また,光学系をピエゾアクチュエータで上下させることにより,深さ方向に断層撮影を行えるような装置構成を考え3次元的な流れの観察手法を確立した。 (2)シースフロー型生体分子搬送システムの設計・試作・評価(庄子・船津) 生体分子を微小流路中で変性させることなく搬送するため,3次元シースフローマイクロフローセルを設計試作した。これはキャリア液でサンプル流を包込む形の流れを実現するもので,それをマイクロマシーニング技術でガラスーシリコンからなるマイクロチップ上に製作した。工夫点はキャリアを2段階に導入し,その間にサンプルを導入口をも置けるもので,比較的簡単な構造で3次元的なシースフローマイクロフローセルを実現している。(1)の3次元流れ観察装置を用いて流路中の流れの観察を行い3次元的なシースフローが実現できたことを確認した。また,有限要素法を用いた流れのシミュレーションを行い,観察結果との比較により,そのパラメータや境界条件の最適化について検討した。 (3)生体物質制御のための反応場制御マイクロセルの設計・試作(庄子・本間) 生体物質の表面固定など反応場の制御を考えたマイクロセルとして,まず,温度を正確にしかも応答性良く制御できるマイクロセルを設計・試作した。シリコンウエハ上に異方性エッチングを用いて,96個(8行12列)のマイクロセルを形成し,その裏側にTi薄膜ヒータと温度センサを形成し,温度のフィードバック制御を行うマイクロ反応セルアレーを製作し,セル内の温度分布を有限要素法により解析した。このマイクロ反応セルアレーは8個の行ごとに共通のヒータと温度センサを持ち,行ごとに温度を変化できる構造となっている。各マイクロセルの温度上昇の時間変化や隣のセルに形成されたヒータの温度の影響などを解析により検証するとともにサーモビューアを使った測定結果比較し,解析の有効性を検証した。室温から70℃までの温度上昇時間を6秒以内に抑えることが可能であり,容器内の温度のばらつきは2%程度を実現できた。
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