研究概要 |
(1)細胞搬送マイクロフローセルの試作・改良(庄子・船津) 細胞や生体分子の搬送を目的として,粘度の低いメチルセルロースを媒体とした新しいマイクロ流体制御機構を開発した。メチルセルロースは温度上昇によりゲル化する性質があるため,流路にスポット的にレーザー光を照射すると部分的に固化する。この性質を利用して,微小流路内でスイッチングを行う機構を実現し,生体物質の分別・搬送を可能にするフローセルを試作した。流路の構造を微小化することにより,スイッチング時間を1秒以内に抑えることが可能であることがわかり,この技術はマイクロセルソータとして応用できる可能性を得た。 (2)シースフローを利用したマイクロフローセルの試作と抗原抗体反応への応用(庄子) 前年度試作した3次元シースフローマイクロセルの改良として,サンプルや試薬の導入口に逆止弁を形成したものを試作・評価した。また,その有効性を確めるために,抗原-抗体反応を利用したイムノアッセイプローブを固定した生化学検出システムを試作し,その特性を確認した。その結果,マイクロフローシステムでは従来の滴下型反応システムに比べて分析時間を1/8程度に短縮できるという知見を得た。 (3)微細構造体表面の作成および生体物質の固定方法の検討(庄子・本間) 電気化学的手法である陽極化成技術を用い,シリコン上にサブミクロンレベルの微細構造を作成する技術について見当を行った。また,生体物質の固定に有効である多種類の金属をメッキにより形成する手法を検討した。 (4)反応場制御マイクロセルの設計(庄子) 金属薄膜電極やヒータをシリコーンゴムの一種であるPDMS中に埋め込むことにより,温度,電界など反応パラメータ3次元的に制御するマイクロセルの構造設計を行い,マイクロ構造体シミュレーションシステムでその有効性を検証した。また,金属薄膜のPDMSへの埋め込みおよびリード線の取り出しなどのマイクロセル製作に要求される技術を確立した。
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