赤外線カメラを用いた埋設対人地雷探知技術の研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12450169
• 研究機関: 東京工業高等専門学校
• 研究代表者: 下井 信浩 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (10300542)
• 研究分担者: 滝田 好宏 防衛大学校, 工学部, 助教授 ; 和崎 克巳 信州大学, 工学部, 助手 (70271492) ; 野波 健蔵 千葉大学, 工学部, 教授 (30143259) ; 大迫 雄 日本計測器(株), 技術部(研究者職)
• キーワード: 対人地雷 / 地雷探知技術 / 地雷処理技術 / 赤外線カメラ / リモートセンシング

研究概要

世界中の紛争地域には、戦闘が終了した現在も約8千万個以上の対人地雷等が埋設されたまま放置されている。これらの地雷は、多くの非戦闘員の人命及び手足を奪っている。このように危険な地雷を速やかに除去するには、遠隔から無人による安全な地雷探知・処理技術が必要とされている。
本研究では、このような問題を解決するために人道的地雷探知・処理技術施し、埋設及び散布された対人地雷等を遠隔から探知するIRカメラによる技術を開発した。
探知方法として、水にアルコール及び氷を入れた冷却水を探知を実施する地表面に散布し、8〜12μmの長波長帯の赤外線カメラを用いて遠隔から埋設模擬地雷を探知する。得られた赤外線画像をトーン抽出処理及びスコア処理等による画像処理を実施すると、従来の磁気センサを用いた地雷探知器では探知が困難とされていたプラスチック製の模擬対人地雷が冷却水を散布後約3分程度の時間経過により埋設形状を認識することが可能となった。従来のマイクロ波レーダを用いた地雷探知器ではS/N比の関係から地表面近傍に埋設された対人地雷の発見は極めて困難とされていた。また地雷探知器として最も普及されている磁気センサを用いた金属探知器は、金属の使用量が1g以下のプラスチックの探知には難しいために本研究の成果による赤外線カメラを用いた地雷探知技術の有効異性は従来の地雷探知の欠点を補うために重要な技術であると思われる。
これらの成果は、カナダ及びドイツの国際会議において発表され、他の国々の研究者から高い評価を受けている。また、韓国の国際会議においては発表された論文が最優秀論文賞に選出されている。

研究成果

• [文献書誌] K.wasaki N.Shimoi, Y.Takita, Pauline N.Kawamoto: "A Realization of the Smart Sensing for Mine Detection by using the Time Subtraction IR Images"International Conference on Multi sensor Fusion and Integration for Intelligent Systems. MFI 2001 IEEE. 133-139 (2002)
• [文献書誌] N.Shimoi, Y.Takita, K.Nonami, K.wasaki: "Smart Sensing for Mine Detection Studies with IR Cameras"2001 IEEE International Symposiunm on Computational Intelligence in Robotics and Automation. IEEE CIRA. 356-361 (2002)
• [文献書誌] N.Shirnoi, Y.Takita, K.wasaki, Pauline N.Kawainoto: "Land Mine Detecting Technology by Using IR Cameras"ICCAS 2001 International Automation and Symposium. October17-21. 131-134 (2002)
• [文献書誌] 下井信浩, 滝田好宏, 和崎克己: "IRカメラによる埋設対人地雷の探知技術"時計学会 論文集. Vol45 4号. 32-40 (2002)
• [文献書誌] 下井 信浩: "人道的地雷除去のための対人地雷探知技術"計測自動制御学会論文集. Vol37-6. 577-589 (2002)
• [文献書誌] 野波健蔵, 下井信浩, 他: "NGOによる先端計測技術と歩行ロボットを用いた地雷探知・処理に関する研究分科会報告書"日本機械学会・分科会報告書. 1-50 (2002)
• [文献書誌] 下井 信浩: "対人地雷の撲滅目指す先端技術"森北出版社. 160 (2002)