研究概要 |
本年度の研究実績は下記のようである. まず,ロバスト制御と整合性の良いモデル集合同定に関しては,雑音と入力の無相関性を考慮にいれることにより保守性を小さくした手法について検討した.柔軟構造物を用いた制震制御実験により,この同定手法の保守性の少なさを検証した. つぎに,学習制御法に関しては,(a)反復補償期チューニング法と(b)入力空間の有限次元化に基づく学習法について検討した.(a)に関しては,フィードバックとフィードフォワードの個別調整とパラメータ更新則に数値最適化手法を取り入れることにより,摩擦等の実際的な非線形性に対応可能な手法を与えた.(b)に関しては,メカニカル系の構造を利用した入力空間の有限次元化を図り,その有効性を数値例によって検証した. また,今後提案する種々の手法の有効性を検証するための制御対象としてマニピュレータを購入した.本マニピュレータは双腕(片腕の自由度は4で全長約80cm)である.理論の色々な側面を検証するためにはある程度複雑な非線形システムに対して理論を適用することが望ましいが,本マニピュレータはその目的に合致している.
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