研究概要 |
本年度の研究実績は下記のようである. まず,モデル集合の同定に関してはHammersteinモデルで記述される非線形系に対してモデル集合を同定する一つの手法を提案した.ロバスト制御に適合する形式でのモデル集合同定に関する研究は,従来ほとんどなされていなかったが,ある種の誘導ノルムを用いると,制御対象の不確かさの上界が入力の関数として評価できることに着目することによってこれが可能となった. 学習に関しては,つぎの成果が得られた.第一に,入力空問の有限次元化を用いた学習に関する研究を進め,これがシステム同定と関連した新たなアプローチとして捉えられること,および雑音や制御系のディジタル化に対してロバストであることを確認した.第二に,電気-機械システムを含むあるクラスの非線形系に対して,共役システムに基づく学習制御系の構成法を与えた.ここでの特徴は,モデルの構造情報と入出力データだけを用いており,システムの詳細情報が不要なことである.第三に,数値最適化手法を基礎として,入力飽和などの制約条件を考慮にいれた学習制御手法を提案し,その有効性をシミュレーションにより検証した. 実験検証に関しては,まず,検証用実験装置の腕部に対する動作実験を行うための基礎的な制御系を構築し,基礎実験を行った.その結果簡単な動作確認を行うことができた.また,脚機構に用いるための基礎要素を設計し試作した.具体的には,複数の入力パワーを統合化し再配分することができる新しい機構を具現化した.そして,その機構の物理モデルを構築し,トルク制御系を構成することでその有効性を実験で示した.
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