研究概要 |
多孔質コンクリートを組み込んだ水辺の構造物に水質浄化機能を生物の働きによって継続させ,維持管理を少なくできるシステムの開発を行った。また,多孔質コンクリートの水質浄化機能および水に対する耐久性について検討を行った。得られた主な結果は次のようである。 (1)多孔質コンクリートここではポーラスコンクリートを用いたが,このポーラスコンクリートの水質浄化機能の高機能化は,その空隙特性や使用材料を適切に選択することによって実現できた。 (2)干潮域に浸漬したポーラスコンクリートの圧縮強度は,配合や使用材料にもよって異なるが,3年程度で約半分程度になるものもあった。 (3)ポーラスコンクリートを組み込んだ水質浄化試験プラントによる調査結果によると,設置後約2年で,10年前に建設した隣接する既設の直立岸壁と同じ程度の種類数の食性生物が生息していることが確認された。 (4)水深を2種に変えた水質浄化プラントの底の部分には,水深の深いものでは浮児が堆積しており,水深の浅いものでは浮泥はほとんどなかった。これは,水深の深いものでは,貧酸素状態となり,食性生物が生息できないためと考えられる。一方,水深が浅い場合は,「カキ類」が多く生息しており,これによって浮泥が捕食されたと考えられる。 (5)「二枚貝類」は,水中の浮遊物質を餌とし,水質を浄化させることが確認できた。 (6)以上のことから,ポーラスコンクリートを組み込んだ水辺構造物には,水質浄化の働きをする生物が生息でき,維持管理をほとんどしなくても生物の働きによって水質浄化機能が継続することが分かった。
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