研究概要 |
リモートセンシングによる降水の推定は,熱帯を中心にこれまで研究されてきたが,今後は,全球的な降水強度のリトリーバルが求められている.このうち,冬期における降雪については,衛星搭載レーダー,マイクロ波放射計のデータからの降水リトリーバルの精度に問題がある.降雪についての今後の降水強度リトリーバルアルゴリズムの改良のためには,降水強度の検証だけでなく,降雪雲のマイクロ波放射特性の把握が不可欠であり,このため雲物理量のin situデータとリモートセンシングデータの同時比較観測が必要である. 日本付近で降雪を観測するには,冬期の日本海側が,良い対象となる.また,熱帯降雨観測衛星TRMMは,日本海沿岸までをカバーすることから,衛星搭載レーダPRとマイクロ波放射計TMIを使って降雪を観測することが出来る.また,2001年末に打ち上げられる衛星Aqua搭載のマイクロ波放射計AMSR-Eの降水強度リトリーバルアルゴリズムはTMIにも適用可能なので降水強度リトリーバルアルゴリズムの検証をAMSR-E,TMIの両方のデータを用いて行うことが可能である.TRMMPRの観測の北限が37Nであることを考慮して若狭湾を対象領域として選定した.特に,そこで,平成13年1〜2月に若狭湾でTRMMと同期した,in situ観測を実施した.NASDAドップラーレーダーを運用し,地上粒径降雪強度観測装置,マイクロレインレーダ,マイクロ波放射計,GPSゾンデ,GPS可降水量観測装置によって冬季降水の物理過程と放射伝達過程に関するデータを取得した.
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