研究分担者 |
大見謝 辰男 沖縄県衛生環境研究所, 赤土研究室, 研究室長
藤井 智史 郵政省通信総合研究所, 沖縄電波観測所, 所長
二瓶 泰雄 東京理科大学, 理工学部, 専任講師 (60262268)
小林 孝 (財)世界自然保護基金日本委員会, サンゴ礁保護研究センター, センター員(研究職)
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研究概要 |
(1) サンゴ礁物理・生態環境システムに関する総合的現地観測:6月から9月にかけて,サンゴ礁内外での係留ブイ等による多点同時観測により,海水流動,波浪,水温,塩分,濁度・栄養塩濃度,等の長期連続観測を,顕著な陸域・外洋影響が想定される石垣島・白保海岸を対象として行った.これらの観測結果の解析により,サンゴ礁内海水流動の基本的な力学過程,河川水や外洋水の流入・流出過程,濁質の輸送・巻上げ過程等に関する知見を得た. (2)陸域からの表層土壌流出ならびに栄養塩負荷量の観測と解析:陸域からの濁質・栄養塩流出の計測を上記観測と同時期に行った.そのデータ整理結果をベースとして,陸域からの濁質・環境負荷量の定量的評価モデル開発のための基本的な検討を行った.濁質流出については基本モデルを開発し,実測値との良好な一致が得られた. (3)マングローブ域の物理環境システムに関する現地観測:サンゴ礁生態システムを理解するうえで重要な要素となる周辺生態系の典型的な対象であるマングローブに関して,その物理・生態環境を明らかにするための観測を石垣島・吹通川及び宮良側河口に存在するマングローブ域で9月下旬に行った. (4)短波海洋レーダおよび係留ブイによる広域海水流動観測:サンゴ礁への外洋影響の評価・解析の一環として広域海水流動特性を把握するとともに,今後のサンゴ回復過程に密接に関わるサンゴ幼生の発生源を同定し,サンゴ幼生の広域移流拡散過程・輸送範囲・時間の解明を行うために,海洋短波レーダと係留ブイによるによる広域表層海水流動計測を沖縄西方海域を対象として行った. (5)数値シミュレーションモデルの開発:以上の現地観測の成果に基づいて,サンゴ礁内の物質(濁質・栄養塩等)や熱量の輸送を支配する海水流動モデル,ならびに,外洋の広域海水流動モデルを,それそれ,灘岡らか開発してきているSDS-2DHモデル(浅水乱流LESモデル)やPOM-dual sigma座標系モデルをベースとして開発した. (6)リモートセンシングによるサンゴ礁モニタリング画像解析手法の開発:サンゴ礁キャノピーに関する光学モデルについて基礎的な検討を行い,従来とは質的に異なるサンゴ礁モニタリングの可能性について見通しを得た.
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