研究課題/領域番号 |
12450203
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 馨一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00091455)
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研究分担者 |
為国 孝敏 足利工業大学, 工学部, 助教授 (70285766)
清水 浩志郎 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (30006655)
高野 伸栄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60221355)
竹内 伝史 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (70065283)
古屋 秀樹 筑波大学, 社会工学系, 講師 (80252013)
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キーワード | 大規模社会基盤施設 / 土木遺産 / 事業評価 / 青函トンネル / 費用便益化 / 純便益 |
研究概要 |
本研究はわが国が世界に誇る戦後の土木事業、大規模社会基盤施設を将来にわたって正当に評価し、その役割を伝えることを目標としたものである。これまで土木遺産の評価が行われてきたが、これらの施設は昭和20年以前のものに限定されていた。本研究は昭和20年以後の大規模社会基盤施設を取り上げ、計画のプロセスを解明する資料を収集し、保存し、さらに現存する関係者からのヒアリングを行ってきた。対象とした施設は青函トンネル、小樽築港、八郎潟干拓、只見川電源開発、首都高速道路、名神高速道路、東京湾横断道路、成田空港、東海道新幹線、本四架橋、関門架橋・トンネルであり、全国各地の分担者が資料収集や調査を行ってきた。 本年度の研究打合わせ会において青函トンネルの事例が報告された。青函トンネルは昭和21年に初めて地質調査が行われ、昭和29年の洞爺丸事件を契機に建設計画が具体化した。昭和39年に北海道側で調査坑が掘削され、46年に新幹線断面で本坑工事が開始された。58年に先進導坑が貫通し、63年に本坑の完成を見ている。この間、青函トンネル無用論も出されたが、現在は北海道〜本州間の基幹的な物流ルートとして機能していることを検証した。すなわち、青函トンネルの建設費は取り付け部まで含めて8999億円であり、これを開業年の63年価格に換算すると1兆736億円になる。これに対して便益は不要になった青函連絡船の運営費や旅客、貨物の時間短縮効果等を合算すると2兆7970億円となった。青函トンネルプロジェクトの費用便益比は1.95となり、総便益から総費用を引いた純便益は1兆3642億円とることを明らかにした。
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