研究課題/領域番号 |
12450210
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
土木環境システム
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡辺 義公 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00040999)
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研究分担者 |
木村 克輝 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10292054)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 膜分離 / ファウリング / 逆流洗浄 / エアスクラビング / 凝集沈殿処理 / オゾン酸化 / 不可逆ケーキ層 / Irreversible Cake Resistance |
研究概要 |
千歳川表流水を原水として、凝集条件の異なるジャーテストとUF膜回分ろ過実験を行い、UF膜ろ過のろ過サイクルにおける膜ファウリングの発現および溶解性有機成分の除去性に及ぼす凝集沈殿処理の影響を検討した。噴流攪拌固液分離槽(JMS)による凝集沈殿を前処理としたUF膜連続ろ過実験を行い、長時間の運転において膜ファウリングの発現及び溶解性有機成分の除去性に及ぼす影響も評価した。その結果、凝集沈殿をUF膜ろ過の前処理として用いると、膜ファウリングが低減化され、溶解性有機成分の除去性が著しく向上することが確認された。また、UF膜ろ過の前処理としての凝集沈殿の効果は、pHや凝集剤注入率によって大きな差があることから、適切な凝集条件の選択が重要である。 長時間の定流量全量UF膜ろ過における、物理洗浄条件の違いが膜ファウリングの抑制に及ぼす影響について検討した。水逆洗とエアスクラビングを併用すると、水逆洗のみの場合に比べて、不可逆ケーキ層抵抗の上昇が極めて緩やかとなった。物理洗浄排水の分析より、膜で阻止された高分子フミン質、懸濁成分および金属成分が水逆洗とエアスクラビングの併用によって、良好に剥離できたためであることがわかった。洗浄時間及び洗浄強度の異なる物理洗浄の増加に伴い、不可逆ケーキ層抵抗の上昇は緩やかになったが、洗浄時間には最適値が存在した。 膜ファウリングの制御と処理水質の向上を目的に、MF膜ろ過の前処理としてオゾン酸化を行った。異なるオゾン注入率と膜ろ過前後の残留オゾンの、膜ろ過運転性と処理水質を検討した。前オゾン酸化によって、E260を指標とするフミン質の除去率はオゾン酸化無しの場合に比べて1.5〜2.0倍向上したが、TOC除去率は若干低くなった。前オゾン酸化後空気曝気してオゾンを残留させなかった場合は、全マンガン除去率は約90%であったが、膜面にオゾンを残留させた場合の全マンガン除去率は約50%であった。前オゾン酸化して膜ろ過すると、ろ過水のAOCは千歳川を直接膜ろ過した場合の2.5〜8.2倍となった。前オゾン酸化により膜ろ過運転性が向上した。特に、膜透過水にオゾンが残留していた場合に、より安定した膜ろ過運転が可能であった。前オゾン酸化による膜ろ過運転性の向上は、(1)オゾン酸化による有機成分の低分子化、(2)膜面に残留するオゾンによる膜で阻止された有機・無機成分に対する物理洗浄効果の向上、によると考えられる。回転平膜の表面に微小量の硝化細菌を主体とする生物膜を保持しながら膜ろ過を行う膜処理プロセスを開発した。本プロセスでは、膜ろ過と低濃度アンモニア性窒素、マンガンイオン、生物代謝性有機物(AOC)の酸化が同時に行われる。膜ろ過抵抗について検討した結果、本プロセスでは、全膜ろ過抵抗の70〜80%が膜面に付着・蓄積したケーキに起因した。本水処理装置では、膜の回転作用を利用したスポンジ片による膜洗浄法が有効であった。この洗浄法と本装置の処理性を確認するために、長期間に亘るパイロットプラント実験を行った。その結果、スポンジ洗浄のみで約1年間の運転が可能であった。処理水質についても、水温が15℃以上では、アンモニア性窒素濃度、全マンガン、AOCの濃度はそれぞれ0.01、0.005、0.001mg/l程度であった。
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