研究課題/領域番号 |
12450211
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
味埜 俊 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60166098)
|
研究分担者 |
栗栖 太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30312979)
佐藤 弘泰 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (90251347)
|
キーワード | 活性汚泥法 / 余剰汚泥 / オゾン処理 / ゼロエミッション / 無機物質 / 汚泥可溶化 / 金属塩 / ICP質量分析 |
研究概要 |
環境に対する負荷をできるだけ小さくするという視点からの廃水処理技術を見ると、廃水中の有機物をできる限り無機化することを目指した効率の良い廃水処理システムが必要である。そのようなシステムとして余剰汚泥削減型活性汚泥法が開発されている。本法は、汚泥の一部を可溶化してこれを曝気槽に戻すことにより汚泥の発生量の削減をめざすものである。非常に有望なシステムだが、その実用化にのためには、汚泥発生量を低く押さえるほど無機固形分がプロセス内に蓄積する問題、および、処理に関わる生物活性が長期的に良好に維持できるかという問題の解決が必要である。本研究では、これらの問題点に対し解答を出すことをめざした研究をおこなった。すなわち、汚泥の可溶化技術としてオゾン処理を用いた余剰汚泥削減型活性汚泥法を実験室内で運転し、プロセスにおける無機物質の収支を解析した。とくに余剰汚泥削減型活性汚泥プロセスを一定期間運転したとき、プロセス内に入ってくる廃水中に含まれる様々な無機物質が、その後それぞれどういう挙動をするかを確かめ、それを説明することを目的とした。その結果、無機物質のうち系内に蓄積しないもの(ナトリウムなど)、ある程度蓄積すると増えるのをやめ、定常状態になる傾向が見られるもの(鉄・アルミニウムなど)、実験期間中は汚泥に蓄積し続けるもの(銅、亜鉛など)があることがわかった。このうち、鉄については汚泥内への蓄積が頭打ちになったのと並行して処理水に溶出する傾向が見られた。本プロセスを長期的に運転した場合、汚泥内に一方的に蓄積する無機固形物質と蓄積はするものの再可溶化する機構を持つ金属が存在することが確認されたので、処理対象の排水中に含まれる無機物質の組成に応じて、汚泥の引き抜き量管理をおこなって、汚泥中の無機物質量を制御する必要がある。また、鉄の可溶化の機構には不明な点がまだ多く、今後さらに検討が必要である。(800字)
|