発がんの過程には、イニシエーションの作用に加えてプロモーション作用が働くことが必要であると考えられている。本研究では、イニシエーション活性の指標としてチャイニーズハムスター肺細胞を用いる染色体異常試験を、またプロモーション活性の指標としてマウス繊維芽細胞を用いる形質転換試験を行った。この検討は、塩素処理水について、バイオアッセイ結果と副生成物の生成・変化過程を検討することで、水質管理の場に応じた水質指標の活用方法を示すことを目的した。 自然水として琵琶湖水を対象とし、その塩素処理水の有害性を検討した結果、塩素処理後のイニシエーション活性の低減とプロモーション活性の増大がみられた。非2段階形質転換試験結果から、給配水系統内では、発がんに関連する有害性は低減する傾向にあることを推定した。 上記の塩素処理の過程における副生成物の濃度変化を測定した結果、トリハロメタン類は指標物質として不適当で、MXが適していることがわかった。
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